いや、知ってたけど。
よくわからんけど、早々にダメになるだろうなって確信してたよ。
だって、『よくわからん』かったもん。
Googleの中枢にいる人らや、Googleに直接かかわっている人らは知らんかもしれんけど、倉井を含めた世の中の大半の人間は『あなたたちほど頭がよくない』の。
ゲームをやるときに、なんか『よくわからん』というのは、あなたたちが思っているよりも、チャレンジするためのハードルが高いんだよ。
頭がよくない人たちというのは、よくわからんもんには手を出したくないの。
だって、『よくわからん』から。
『よくわからん』から、ちょっと今はやめとくか。
って思われたら、その時点で終わりなんだ。
「馬鹿の一つ覚えのようにして『よくわからん』を連呼するとか、おまえバカにしてんのか?」 って一瞬思うでしょ?
でもね、これは真理なんだよ。
世の中に生きている大半のおバカなひとたちは、『よくわからん』ものには手を出さんのだ。
ゲームをやるっていう単純な娯楽のために、よくわからんことしたくないの。
それを解決した名機ファミコンからの伝統どおり、ゲーム機とテレビの線をつないでカセット(ソフト)を入れたら、あとは十字キーとABボタンを連打したいのだ。
だからついこのあいだまで、プレイステーションやXboxといった、ゲーム専用ゲーム機というのが必要だった。
steamも結局そうだった。
日本人は、プレイステーションとXbox、それとスイッチがゲームのすべてであると思っていたから、その正体の見えないsteamがよくわからなかった。
でもプレイステーション5が幻の名機となってしまったことで、「パソコンでゲームしてみよっかな」って思った人たちが使いだしたら、実際にはPCにゲームパッド(コントローラー)を繋げば、パソコンがゲーム機になってしまうのだと、みんなが気付いた。
steamは、『よくわからんもの』から、『パソコンをゲーム機にするやつ』に昇格したんだ。
でもスタジアは、それができなかった。
何がダメだったかというと、まず、『よくわからん』かった。
ゲーム機を売るわけじゃないらしい。ソフトも買わなくていいらしい。
月額課金でゲームを遊ぶって、なに?どういうこと?
クラウドゲーミングサービスってのもよくなかった。
何がよくなかったかというと、『よくわからん』かった。
ソフトを買わないって、どういうこと? ストリームでプレイってなに?
って、みんな思った。
それなのに、Googleさんは一部の頭のいい人たちがそれに理解を示してくれたものだから、ゲームを遊んでいる人の多くは、その人たちほど頭がよくないという事実を見落としてしまった。
21世紀にはいって、はや四半世紀が経とうとしているにもかかわらず、人類の大半が、実は30年近く頭の中身をアップデートしていないアホアホ集団のままであるということを理解せず、ほんのちょっとだけ未来への扉を開いてしまったんだよね。
これが新世代のゲームの遊び方なんだ!って気を張って新技術、新機軸、従来のゲーム勢力にとらわれない新しい選択~とか言ってるうちに、みんなが付いていけなくなってきて、なんかGoogleさんまたよくわからない言葉で喋ってる……(´・ω・`)ってなってしまった。
でもそれ、ほとんどsteamと変わらねぇやん?
って思うけど、steamが受け入れられたのは、『ソフトを買って、ゲーム機であそぶ』という、据え置き型ゲームプラットフォームが、四十年にわたって築き上げてきた基本常識とも言えるルーチンを維持したことにあると思う。
お金を払ってソフトを買って、ゲーム機(この場合はPCがそれ)で遊ぶ。という基本中の基本を変えていなかったことが大事だった。
人類がスタジアを遊ぶには、まだ早すぎた。
カセットをフーフーする行為が、われらにはまだ必要なのだ。
たとえそれが、ほとんど意味のない、儀式めいたものであるとしても……