[ 武蔵野・夏 ]
「夏の武蔵野在住はやべぇわホント、暑さがさ。マジで(得意げ)」
「おめーんところは小埼沼じゃろがい。周辺の水深とか不穏な地名まじでやめろや。雨降る時期は、ぜってぇにおめぇんち行かんもん」
「はぁぁあ?? うるせぇえし。利根川の治水終わってねぇけど、今でもすでに完璧なくらいだから、越水しても無事なんだが? 堤防が崩れんのは、どうせ古河側だ(ひどいはなし)」
……という、埼玉の夏がはじまってまいりましたという三首。
・はるけきと大家が原に立つ雲の峰に分け入り翔ぶ夏燕
・島影の雲のまにまに波をかく南に吹かれし鈴のねにいる
・黒帯の長道うねりて明日晴とかぎる夕暮れまた焦がすべし
[ 高校野球埼玉大会 ]
今年の花咲徳栄高校野球部は、埼玉大会決勝戦まで進出したものの、惜しくも浦和学院高校に敗れ、準優勝という結果に。準決勝では、下馬評では最高評価だった昌平に競り勝つなど、なかなかに奇跡ムーブかましてましたけど、個人的には、今年は準決進出できれば上々という評価だった(倉井個人の評価では本命:浦和 対抗:昌平だった)ですし、決勝戦の内容も、力の差を見せつけられたので致し方なしという感じ。ただ、四番を張ってた小野勝利君は、他の子たちよりさらに苦労した分、甲子園に行かせてあげたかったですけど、しかしそれもまた野球という人生なのだ……という一首。
・あくがるる西より流る雲も疾くはるかに尽きぬ風の青さよ
[ 羇旅・千葉 ]
テレビ(昼めし旅だったか)を観ていたら、千葉の『館山』をやっていたんだけど、どうやら我が家も館山に旅行に行ったことがあるらしい。何も覚えていないけど。
鴨川には何度か行ってるよな。シーワールドとか覚えてるし、そもそも私が生魚のお刺身が食べられるようになったのは、鴨川に行く途中にあったご飯屋さんで、鰺のタタキがめちゃくちゃ美味しかったからなので、わすれようはずもない。
あとなんかすごい綺麗な川が流れてたのはちゃんと覚えてた一首。
・ささらゆく淡の水面は清澄の山辺もゆかし夏二夕間川
実際に今でも綺麗な川なのか、そもそも本当にきれいな川だったのかは知らん
思い出の中の二夕間川は、ちゃんと綺麗なのでそれでいいのだ(
しかし館山のことは、つゆほどにも覚えていない。
聞けば、かつていったという館山旅行に際しては、テレビでも紹介していた富士山の見える浜みたいなところにも行ったんだけど、天気が悪く海が荒れ、館山にいた間に、結局、富士山は見えなかったと父が言うので、おそらくは何も楽しいことがなかったのだろうとか思っていたら、行ったのは「あんたが三つの頃」と言われても、そりゃあ何か覚えているわけもないじゃんねぇ……と思った二首。
・館山の浦行き蹴らしと立つ波につひにあわでの富士の白峰
・息長鳥安房の磯道の館山を行けるかもとはさは鳴けぬかも