非常によかった。
記事の内容は、番組の内容の全文起こしであるものの、後半の東日本大震災に関する部分は、映像でなければ伝わらない山寺宏一自身の想いや雰囲気があるので、アーカイブなどを見た方がいいと思います。
ただ、どうなのよ? と思ったのは、声優として活動しはじめてから、すぐに大ブレイクしで『おはスタ』で人気者に~みたいな紹介のされかた。
それキャリア的には中堅になってからじゃ……。
まぁ『おはスタで大ブレイク』は、事実だからしゃーないが……。
しかし山寺宏一という人も面白くて、アニメ声優としての印象が強いのに、基本的に、アニメで主人公役をほとんどやってない。
主役格の仕事って、『カウボーイ・ビバップ』のスパイクくらいで、あとは準主役みたいな仕事ばかり。
経歴だけ見ると、実際には『脇役声優の帝王』という称号がふさわしい。
けれどこれが、吹き替え声優としてみてみると、あまりにも輝かしいキャリアがある。
エディ・マーフィーとジム・キャリー、ウィル・スミスは、実は本人たちも山寺声が地声であるという可能性を感じてしまうくらいには、山寺宏一の声があってるし。
ほか、膨大な数の吹き替えをこなしていて、アニメより映画吹替の役者さんなんだよね。
でもまぁ、一番の大きな仕事は、やっぱ『おはスタの山ちゃん』なんだろうねぇ。
第〇次声優ブームなんて言葉があったとしても、それまではサブカルチャーとしてのアニメ声優ブームでしかなかったものを、山寺宏一という人が『おはスタ』に出てくれたりモノマネ番組で頑張ったりしてくれたから、声優という職業そのものに日が当たる時代がやってきた。
レジェンド声優という枠に入れられるベテラン声優さんたちは数多くいるけれど、山寺宏一という人ほど、声優という職業の地位向上に果たした役割が大きかったひとは、いないのではないか。
その山寺宏一の内的動機が、今どの方角に向かっているのかというのが、このインタビューによって、少なからず明らかにされていると思う。
「そんなもの彼の普段の活動を見ていれば明らかである」と思う人もいるかもしれないけど、それを踏まえて、本人の口から吐露された想いを、観ている側が十分に感じ取れる内容になっているので、おススメ。