1988年初版の51巻収録話。
こち亀フリークというわけではないので、全然読んだことない話ではあったものの、だいたいイメージ通りというか、フォーマットはすでに出来上がってて、なんだか初めて読んだ気がしないのがすごい感じの『488話』。という表示に衝撃を受ける。
改造車で暴れまわる暴走族を取り締まる導入で始まるのに、取り締まるなら奴だと言いながら、「ホットロッドの前田しかいないよ」と言い放つ両さんがすでに面白いのに、「高速警邏隊のZだ!」で被せてくるのがいいよね。
内容としては出オチというかそこまでで、あとはどうでもいいんだけど、途中の「好きよ好きよ、キャプテン」のネタがいい味出してる。
時事ネタは風化するというのは、ゆうきまさみ先生が『究極超人あ~る』で披露した至言であるけれど、このこち亀51巻発売の88年時点(長期週刊連載のモンスターすぎる)で、すでに小学四年生以下はわからないネタというのをぶっこんでくるあたり、ジャンプの読者層がこの時点で『少年』層から少しずつはみ出し始めていたというのが、よくわかる。
ちなみにこのネタは『ザ・リリーズ』の『好きよキャプテン』です。
爆売れした曲ではあるものの1975年の曲なので、実際には本誌掲載・コミック発売当時の小学4年生ではわからんでしょ……。
実際に「あったなぁ~そんな歌」ってなるのは、高校生(曲の流行当時4~6歳ということになる)でも難しいだろうから、もっと上の25歳前後の読者向けのネタということになるのかも。
ちなみにこの曲は、作詞・松本隆、作曲・森田公一で作られた曲。ザ・リリーズが人気だったというよりも、この二人がかかわった歌が、売れないわけがない……っていうレベルの歌。
松本隆はいうまでもないものの、森田公一をアニオタ・マンガオタ的に紹介しておくと、みなさんご存じの『ドン・チャック物語』のOP曲を作った人です。
え、ご存じない? プロ野球読売巨人軍の愛らしいマスコット(事実誤認)であるドン・チャックをご存じない?
そんなことで、この花の都大東京を生きていけるとお思いか!
わかりにくい!
わかりにくいか!
うーん。
じゃあ、内容がクソすぎて、熱心な石ノ森章太郎ファンでさえ沈黙してしまうという伝説のクソアニメ映画『サイボーグ009 超銀河伝説』の話しするぅ?(脅迫)
しないけど。語る価値もないものをクソというのだ。
この作品の主題歌『10億光年の愛』の作曲をした人が森田公一です。
いい曲です。
間違いなくいい曲ではあるものの、いい歌かどうかとういうのは別。
曲としての完成度は間違いなく高いのに、歌・歌詞がついてダメになった例というか。
もったいない感じする。
ちなみに、ザ・リリーズの二人は双子で、『おうちでライオンを飼ってる』という話題作りで70年代アイドル戦国時代を戦ったお二人で、この時代特有のぶっ飛んだ売り出し方が、そもそもこち亀っぽさ全開すぎる。
ワシのこち亀は80~90巻代がメインなので、こういう脱法警察っぽいノリとはまた別の印象なんですが、50巻台で、すでに両さんの顔は固定してる感じなんですねぇって言うとあれだけど、週刊連載で50巻といえばすでに超長期連載も極まったと言っていいレベルだし、普通の作者なら作品3つくらいは平気でこなしてる時間感覚だしで、しかもギャグ作品で十年超を休載ナシというこの時点で、ガチのモンスター漫画作家なんだよなぁ秋本先生って。
:追記:
こち亀のコミックス発売年を大幅に間違っていたので、それに伴いいろいろ修正・追記しました。