2022年10月21日金曜日

オサム心配になってきたなぁ。

 今週、『令和のダラさん』が、あると見せかけて単行本告知だったから、ちょっと盛り下がってる。
 令和のダラさんて、普通の本屋さんに置くかなぁ??
 という不安があるにしても、普通の本屋さんが壊滅している街に住んでいるので、蔦屋にならあると信じたいが……。

 突然だけど、『限界煩悩活劇オサム』が、心配になってきた。
 オサムが可愛いだけの漫画になってきて、この調子でいくの? という不安が滲んでくる。
 今のまま、ライト腐女子がオサムとみしんちゃんというアバターを通して描かれるだけならば、この漫画の本質は、ゲーオタという獣にお嬢様というアバターを着せた『ゲーミングお嬢様』と何ら変わらんことになる(別にそれでもいいが)。
 ワシが長いスパンで考えて、落ち着いた連載をしてほしいと思うのは、この辺なんだよ。
 オタネタはホットなうちに叩かないと人気が形成できない日本刀同様の繊細微妙な作品だということはわかるんだけど、それを急いでしまうと物語の陳腐化を招いてしまうだけなんだ。
 腐女子という煩悩が悪霊となる前に祓うというのは、ほとんどそれ自体が腐女子界隈のメタネタみたいなもんなわけで、それが多くのライト層(あえてそう言っておく)にぶっ刺さったというのが、読み切り時点のオサムの大爆発につながった。
 それはわかっているし、だからこそ、そこを狙っていくのは、間違いじゃない。
 間違いじゃないんだけど、この漫画が自らに課したのは『お焚き上げしなきゃならんほどの腐女子の業』をネタにしていくことであって、『読者の共感を呼ぶオタク心理』の羅列ではないはずだ。
 ワシは残念ながらそういうのはわからんので(すっとぼけ)、足袋はなお先生ゲタバ子先生には頑張ってほしいんだけど、このままでは「ジャンププラスのなんか面白かったギャグマンガ」にしかならんのが心配。
 『ゲーミングお嬢様』の方は、原作者の文字通り死ぬほど煽りセンスの高い語彙力によって、本来は動物園のサル山に隔離されなければならないチンパンジーの群れ(対戦ゲーオタ)の魂をえぐる台詞回しに成功し延命できているうちにマンガが上手くなってきた(今週の最後のページの転子様最高に良かった)けど。
 もう元々、ゲタバ子先生の場合は物語もキャラも上手いし、オサム自体も漫画としては何の文句のつけようもない状況(面白いという)なんだよな。
 それゆえに、内容的に薄くなっちゃってるんだよ。オサムが腐女子であることが主軸になっている作品だからこそ、オサム(具現化された腐女子)の持っている業で勝負しなきゃいけないのに、今週すでに、漫画ファン総論みたいな話だった。
 今週のネタは、腐女子でなければ成立しないネタではなくて、漫画ファンなら起こりえる状況になってしまっている。
 これはいかんのよ。
 そこから先が、腐女子なんじゃないんですか? っていう。
 見聞色の覇気もってるんかい? っていうくらい、そこから先を妄想してしまうのが、腐女子じゃないんですか? っていう。
 でも、それは先読みじゃなくて「ありえない妄想」だから、見聞色の覇気じゃないですね、違いましたねっていうのが、腐女子なんだよねっていう。

 例えば、今週のワンピさ。(スムーズな展開)
 今週のワンピは、ローがルフィと別れたあと、黒ひげと邂逅し一戦交えようってとこで終わったわけだけど、これは、ワノ国編でルフィ、ロー、キッドの同世代海賊団がイチャイチャしたあとに、恨みっこなしの啖呵切ったローだけが黒ひげという脅威に直面するというファンとしては、一気にピンチ持ってくるね!? っていう展開で、絶体絶命のピンチとしか思えないわけよ。でもローは、一切、麦わら屋とユースタス屋には言及せずに、完全に己の独力で黒ひげ海賊団と戦うことを即決するの。
 ローがクッソ好きなワシとしては、女体化ローもよかったし、でも本人もちゃんとカッコいいとこ見せる下準備整えるしで、満足しつつ、さらには物語途中参加でありながら、ここまで独立した個としての魅力を引き出しつつも、準レギュラーどころではなく『ワンピースに至ろうとする海賊それぞれに、それぞれ渡ってきた海がある』という主人公としての性格をローに持たせている尾田先生のすごさを感じるしで、もうやっぱワンピすげーな!って思いなおすくらいには、すでにおなか一杯じゃん?
 でも腐女子というのは。
 それとは別に、あえて麦わら屋のこともユースタス屋のこともモノローグさせないという、それそのものに、
  • 何らかの意味を持たせていく、
  • 持たせてしまう、
  • いや、持たせてしまわざるを得ない
 というのが、そう呼ばれる存在なんだよ。
 激熱展開は、激熱妄想チャンスなんだよ、腐女子にとっては。
 その裏に、己の求める理想の展開を差しはさんでしまうことが、腐女子という人々の持つ業なんだよ。
 トラファルガー・ローは、己が求めるワンピースのために生きていて、その時間を共有してきた自ら率いる海賊団の仲間たちもいるんだけど、実際にはあそこで、ユースタス屋の顔を思い浮かべてしまっていて、マムと共闘した場面で覇気を飛ばしたライバルに奮起して、「覇気で悪魔の実の能力を捻じ伏せる!」と決意したかもしんねぇじゃん。
 それこそが尊いんだろうが。
 激熱展開の意味が違っていく、その意味を能動的に間違えていってしまうから、一般の人とは分かり合えないという、深い深い業の蔓延る怨霊じみた世界に繋がっていくんだろうが……っていうね。
 
 今のままだと、オサムも怨霊さんもただの光の腐女子(ライト腐女子)でしかない。
 腐女子の暗黒面が怨霊さんなのではなく、腐女子ネタをただ消費するための存在として怨霊さん(霊的なもの)が出てきて、それを主人公が共有するだけでは、その業に切り込んでるとはおもえなくて、ただの腐女子ギャグ漫画になるしかないんだよ。

 いや、まぁ、それで全く問題ないんだけど。

 ただオタク総論みたいなマンガにするよりは、腐女子掘り下げて描写していくのを目指してほしかった。
 そう意味で、じっくりネタ作ってく月一連載にすべきだったんだよなぁ……。